横井製作所にいってきました! ~工場見学のススメ~
10月22日(火)に株式会社横井製作所様にお邪魔させていただきました!
立命館科学技術振興会事務局(ASTER)主催でした。
くわしくはこちら→http://aster-ritsumei.com/?p=3335
あいにく台風の影響で岩倉峡散策はキャンセルとなってしまいました。残念(>_<)
が!お弁当含めすべて無料。
こんなに至れり尽くせりでいいのかなぁ。
おいしかったです(*´▽`*)
里芋をキノコみたいな形に切ってあったりと、品のよいお弁当でした♪(写真撮っとけばよかった…)
ちょっと小さいですが、道中見かけた伊賀上野城です!
横井製作所は消防用機器の国内トップシェア企業です。
三重県にある以下の3工場を順番に見学させていただきました。
①上野工場
②伊賀工場
③柘植工場
3工場ともわざわざ横井社長が引率して解説してくださいました!
お若く見えました。3代目だそうです。
余談ですが、私の就職先も会長が3代目で、会社の名前が創業家の名字から来てる(中小企業あるあるですよね笑)ような所なので、勝手に親近感が湧きました笑
意外にも商学部出身でいらっしゃるとか。
<業界概要>
就活の時に消火器メーカーを見てたことはありますが、あまり詳しくない業界だったので勉強になりました。
建物ができると、消防法がありますから消火栓等が設置されます。
建設業界の一部とみなせるそうです。
なので、建設動向に需要が左右されます。
耐震強化やオリンピック招致に伴い需要は上向き傾向だそうです。
東京に10社あったメーカーはすべて倒産してしまったそうなので、すべて関西メーカーから供給しているのが現状なのだそう。
ただ、後の質疑応答で社長自ら仰っておられましたが、関東でのシェアは高くないようでそれが課題のようです。
直接の取引先としては、ゼネコンの下のサブコンや管材問屋etcなのだとか。
参入障壁は高め。
<主な製品>
・消火栓(金属の箱含む) 45,000台/年
・消防隊が使うホース プロ向け
・送水口
・ゴミPITシステム
<①上野工場>
消火栓の箱製造メイン。
板金工場です。ほぼオーダーメイドで作っているのだとか。
ただの鉄の板を社員さんがあっというまに箱にするのを見たときはちょっと感動でした(≧▽≦)
溶接の痕をキレイに消したりと、職人技的な部分も。
アマダさんの機械がたくさん動いてるのを見ることもできました。就活で知った企業の製品が実際に工場で使われてる所を見れるのも工場見学の楽しみかも♪
神戸製鋼さんから鉄板を仕入れる。「鋼材検査証明書」を見せていただけました。
100台/日 出荷。
ゴミPITシステムを拝見させていただきました。
これは、ゴミ焼却場でゴミが自然発火したものを赤外線で熱感知、放水銃でピンポイント消化するというもの。
「現時点の会社の売上に占める割合はまだ少ないですが、これから伸ばしていきたい分野」と横井社長。
<②伊賀工場>
消火栓用、消防隊用ホースの製造。
12,000本/月。
消防隊が毎日使うプロ向けホース。
消防士さんの命綱です。高い耐久性が求められます。
国内に消化ホースの工場は4工場(社)しか無いそうで、
「撮影厳禁でお願いします^^;」とのこと。
↓ホースの製造工程
内張り(ライニング)の素材は
①ゴム系
②樹脂系
ありますが、いまはほとんど後者が使われます。ゴムだと分厚くなって重くなってしまうからだそうです。
ホースに使われるのはポリエステル糸で、
①フィラメント糸
②スパン糸
に大別されます。他にもアラミド繊維、ペットボトルからリサイクルされたエコな繊維を使うものもあります。
織り方は、
①綾織り
②平織り
これらは家庭科の授業等で聞いたことがある方もおられるかもしれませんね^^
説明が難しいのですが、ライニング(樹脂のチューブ)を覆うように糸を織っていくんですね。(プリント右上の写真の機械で)
つまり、円形の機織り機なんです。シャトルが2本回ってます。これがとても興味深かったです!
実際、この方法をとっているのは横井製作所さんだけなんだとか。
他社は逆で、布の方が内側で、その上に樹脂を被せてから、裏表をひっくり返すのだそうです。
なぜ横井さんでは他社と違った方法を採っておられるのか気になって質問したところ、
他社がやっている方法は大規模な建物が必要で、機械のコストも高いのだそうです。
他社はすべて上場企業で、大量生産をしている。
横井製作所の方法なら小規模な設備でも生産でき、また小ロットにも対応しやすい。
自治体によってニーズはバラバラだけれど、色々な種類に切り替えて対応しやすい。
消化戦術もまちまち。たとえば、大阪はホースをひっぱりまわすから、ダメージ軽減のためにダブルジャケットにするとか。(消化にも、なんだか県民性が出るようで興味深いです笑)
横井さんはホースでは後発なので、先発の上場企業と同じことをやっていても戦えない。
当社ならではの細かい対応をして差別化を図るのだ、との回答をいただきました。
チューブの外側の樹脂の方が融点低いのを利用して、蒸気でチューブとジャケットを合体させます。
この樹脂がまた不思議で、最初は透明の粒。そこにごく少量の黒い粒(カーボンブラック)が入ってるだけなのですが、チューブになったら真っ黒なんですね。いやー不思議!面白い!
カーボンブラックのおかげで耐候性が高まって、紫外線劣化もしにくくなります。
やっぱり、自分はどちらかというと機械とか化学とかのモノづくり系の仕事の方が興味持てるのかもなぁと思いました。
就職先は商社ですが、やはりモノづくりの業界を支えてる側面が強いし、メーカー機能のある会社です。
でも、日本はもうモノづくりとかそういう段階の国じゃないのかなぁ・・・(´・ω・`)
で、どの糸を使うか、どの織り方をするかで、ホースの持ち心地とか汚れの落ちやすさが変わってきます。
ちょっと毛色が違う製品だと、災害時等に飲料水を送水できる食品衛生法適合のホースもあります。
<③柘植工場>
開発業務主体。
以前は日本郵船と海賊対策(?!)についての研究。
立命館との共同実験について解説いただきました。
①WSS(Water Shield System)
木造建築だと、隣で火事があると放射熱で延焼してしまう。
それを防ぐシステムです。
伝統的木造物を守ります。
②回転ドラム
これは街頭にある1人操作用の消火栓(私たちでも初期消火に使えます!)の工夫です。
従来のホースは使用後に収納困難。
それを簡単に収納できるようにドラム式にしました。
収納時に水抜きも済んじゃうから一石二鳥です(^o^)/
松山城に導入済み。
・日本郵船との実験 APC(Anti Piracy Curtain)
暴れホース(その名の通り予測不能の動きで襲い掛かるホース)と横付けしてきた海賊船に転覆脅威を与える放水
・減圧媒介
建物の高層階に水を送りたいから、下の方では水圧高くしたい、でも放水する所では水圧を抑えたい、そんなときに使うアイテムを拝見しました。
・スプリンクラー実験
スプリンクラーが作動する所を拝見しました!
恥ずかしながら知らなかったのですが、熱ではんだが溶けて作動する仕組みだったのですね!
実際にはんだがとけて部品が取れる所も見せていただきました(たぶん一生にここでしか見れない)
この部品、運悪く頭の上に落ちてきたら痛いやろうな・・・とかいらんこと考える私であった^^;
<脱コモデティ化への取り組み>
消防法の設置義務のおかげで建物があれば必ず置いてもらえる半面、企業側としては極端な話、置けりゃあ何でもいい。安いほうがいい。
コモディティになってしまって、付加価値をつけづらくなっています。
そうした中で、自社のブランドをつけるために取り組みをされています。
上述のホース製造での細かい対応もそうです。
消火栓の箱の開閉をスライド式にしてみたり。これだと、手すりを持って移動する人の邪魔になりにくい。
それから、デザイン(ソフト)面での取り組みもされてます。消火栓の赤いランプ、みなさんも一度は見たことあると思うのですが、従来のデザインのものだと、けっこう前に飛び出してる。で、あれが病院とかで給食のワゴンとかが当たって割れちゃう。それを平たいデザインにしてみたり。
設計事務所さんからすると、消火栓とかデザインの邪魔でしかない。それをどう邪魔しないデザインにするかとか。
川上の段階からスペック・インしてもらえるよう、設計事務所に営業に行くのだとか。
歴史的な景観を損ねないようなデザインの消火栓箱とか。
<放水体験>
初期消火ならまかせろ!(`・ω・´)
ためになる経験ができました。
<おみやげ>
ホースの端材をリユースしたコインケース。
学生は私以外理系(そして男性only)でした^^; 主催が科学技術振興会だし、そりゃそうか。
ただ、BKCの全学部・全学生に開かれているイベントなので、文系学部の方も是非!
来年もおそらく工場見学やるそうなので。
今回、定員25名だったのですが引率の教職員の方々含めて10名しかいませんでした。
せっかくの貴重な機会(しかもおひるごはん付←)めちゃもったいないと思います。
企業の方も「興味持ったら、ぜひ履歴書持って来て下さい^^」
と仰ってましたし、立命と共同研究もしてます。
採用意欲高いんじゃないかなぁと思います。
是非是非、大学内外のいろんなチャンスに飛びついていきましょう。
きっといい出会いがあるはず!